夏真っ盛り!熱中症に気をつけましょう。

梅雨も明けて、毎日暑い日が続いています。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

こんな季節、増えてくるのが熱中症です。

テレビなどでも熱中症という言葉を聞く機会が増えるのではないでしょうか。

では、熱中症とはどのような病気なのでしょう。

 

熱中症とは

熱中症とは、熱によって引き起こされる体の様々な不調の総称であり、暑さで体内の水分量や塩分量のバランスが崩れることが原因となります。

 

熱中症には様々な症状があり、また熱中症自体もその原因や症状により分類されています。

 

1)熱失神 ⇒ 皮膚の血管が拡張して血圧が低下し、脳への血流が悪くなることによって起こる。
症状:めまい、一時的失神、顔面蒼白、脈は速くて弱くなる
 
2)熱けいれん ⇒ 大量に汗をかいた時に、水分だけをとって血液中の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に起こる。
症状:筋肉痛、手足がつる、筋肉が痙攣する
 
3)熱疲労 ⇒ 大量に汗をかいて、水分補給が十分に追いつかないと脱水状態になり、熱疲労が起こる。
症状:全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力・判断力の低下
 
4)熱射病 ⇒ 体温の上昇により中枢に異常をきたした状態。意識障害やショック状態になることがある。
症状:高体温、意識障害、呼びかけや刺激への反応がにぶい、ふらつき
 
熱中症の重症度
熱中症には軽症のものから、命にかかわる重症のものまで段階に分かれます。
それぞれの重症度は、Ⅰ度からⅢ度までに分類されます。
つぎにそれぞれの症状と、対応方法をご紹介します。
 
Ⅰ度:重症度 軽度
  (症状)
   ・めまい、失神
   ・筋肉痛、筋肉の硬直
   ・大量の発汗
  (対応方法)
   直ちに涼しい場所に移動して、水分と塩分を与える。
 
Ⅱ度:重症度 中度
  (症状)
   ・頭痛、不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
  (対応方法)
   自分で水分や塩分がとれない時は、すぐに病院に搬送。
   
Ⅲ度:重症度 重度
  (症状)
   ・意識障害、けいれん、手足の運動障害
   ・高体温
  (対応方法)
   すぐに病院に搬送。
 
涼しい場所で水分と塩分の補給を
立ちくらみや、めまい、筋肉のけいれん、倦怠感などの熱中症を疑う症状が現れたら、直ちに涼しい場所に身を移して、衣服をゆるめた楽な姿勢で水分や塩分の補給をしましょう。
 
その際、スポーツドリンクや経口補水液などを用いることが効果的です。
手近にそれらがない時は、水や麦茶に塩や梅干しを足して補給しましょう。
 
また、それと同時にうちわや扇風機で風を当てたり、氷を当てるなどして体を冷やすようにしましょう。
 
氷を当てる場合は、首筋やわきの下、足の付け根、足首などの動脈が通っている部分を冷やすのが効果的です。
 
のどが渇いてなかったり、汗をそれほどかいていなくても体内の水分が不足していることもあります。
尿の色がいつもより濃かったり、量が少ない場合はすでに脱水症が起こっている可能性があります。
普段からこまめに水分や塩分を補給することが、熱中症や脱水症の予防には大切です。
 
ただし血圧が高かったり、水分・塩分の摂取が制限されている方は、それぞれかかりつけの医師、薬剤師に相談するようにしてください。
 
またスポーツドリンクの中には糖分を多く含んでいるものがあります。
糖尿病の治療を受けている方は、スポーツドリンクの摂取に関してもそれぞれかかりつけの医師、薬剤師にご相談ください。
 
水分・塩分補給の目安
(1)日常生活における水分補給:通常の生活では食事等に含まれる水分を除いた飲料として摂取すべき量は1日あたり1.2㍑を目安とする。
(2)運動時や作業時の補給:水分の補給量は体重減少量の7~8割程度が目安となる。体重の2%以上の脱水を起こさないように注意する。大量の発汗がある場合は、スポーツ飲料などの塩分濃度0.2%程度の水分を摂取する。
作業前:コップ1~2杯程度の水分・塩分を補給する(コップ一杯200ml)
作業中:コップ半分~1杯程度の水分・塩分を20~30分ごとに補給する。
作業後:30分以内に水分・塩分を補給する。
(3)飲酒時の補給:アルコール飲料は利尿を促進するので、飲酒後は水分・塩分を、十分に補給する。
(4)空調装置使用時の補給:空気が乾燥するので、こまめに水分・塩分を補給する。
 
日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3 より
 
 
熱中症を予防するには
熱中症を予防するための指標として、暑さ指数(WBGT)と日常生活における熱中症予防指針の二つがあります。
 
1)暑さ指数(WBGT)
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)とは、熱中症を予防する目的で1954年にアメリカで提唱されたものです。
気温・湿度・輻射熱の3つの要素から算出します。
 
気象予報では一般的に日最高気温が予報されていますが、熱中症による死亡者数や救急搬送数との相関性は日最高気温よりもWBGTの方が高いため、指標に用いられています。
 
毎年、熱中症に注意が必要な時期になると、環境省のホームページにおいて各地の暑さ指数の実況と予測値が公開されています。
お住まいの地域の暑さ指数を確認して、事前に熱中症予防対策をするようにしてください。
 

 

 2)日常生活における熱中症予防指針

温度基準(WBGT) 注:WBGTは通常の気温とは異なります。

危険(31℃以上)  

注意事項:高齢者では安静な状態でも熱中症の発生する危険性が大きい

外出はできるだけ避け、涼しい室内に移動する必要がある。

 

厳重警戒(28℃以上、31℃未満)

注意事項:外出時は炎天下を避け、室内の気温上昇に注意する。

 

警戒(25℃以上、28℃未満)

注意事項:運動や激しい作業を行う時は定期的に十分な休息をとる。

 

注意(25℃未満)

注意事項:一般に熱中症の発生する危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

 

URL: http://seikishou.jp/heatstroke.html

 

特に小児、高齢者は熱中症になりやすい

小児や高齢者は以下の理由により、特に熱中症になりやすく注意が必要となります。

小児や高齢者は、熱中症弱者としての認識が重要です。

 

・小児は汗腺の発達や、自律神経が未熟なため、体温調節機能が成人と比べて弱いです。また、身長が低いため地面からの輻射熱の影響を受けやすくなっています。

 

・高齢者は持病のある方は、自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱くなっています。また、高齢者の場合、全身に占める水分の割合が低くなっており、容易に脱水になりやすくなっています。脱水になると発汗機能が低下して、さらに体温調節が困難になります。

 

・小児、高齢者ともに自ら熱中症を予防する能力が乏しくなっています。

 

以上の理由から、小児は熱中症になりやすいため、暑い中での屋外活動には注意が必要となります。

 WBGTの確認だけでなく、屋外活動を行う際には、事前に十分な睡眠と栄養、水分の摂取が重要となります。

 

これらを十分に行った場合でも、もし少しぼーっとしていたり、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候が見られた時は注意が必要です。

 

特に低学年児童の場合、自分の症状を的確に言い表すことができないため、単に「足がつった」などの訴えがあった場合でも、単なる疲労と判断せず、熱中症の初期症状を見逃さないように注意しなければなりません。

顔の紅潮や、大量の発汗は体温が上昇していることを示す熱中症の初期症状でありますし、また逆に全く汗をかかない状態も体温低下という重要な機能が働いてないことを示しており注意が必要です。

 

重要なことは、いつもと様子が違うということを察知して、熱中症の初期症状を見逃さず適切な対応を迅速にとることです。

 

最後に

これからまだまだ暑い日が続きます。

今回は熱中症で亡くなる方や、救急搬送される方が少なくなることを祈ってブログを書きました。

薬剤師としてできることは限られていますが、できる範囲のことでこれからも尽力していきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 Reference