アンサングシンデレラは薬剤師を高めているのではない

こんにちは、僕です!

 

ついに始まりました。

ドラマ史上初の薬剤師主演ドラマ「アンサングシンデレラ」

 

Twitterのタイムラインはアンサングシンデレラの話題でもちきりな今日この頃です。

 

そんな中、気になるのは「アンサングシンデレラ」が薬剤師以外の医療職を下げて、薬剤師を持ち上げているという意見が多く見られることです。

 

しかし「アンサングシンデレラ」は他職種を下げてもなければ、薬剤師を上げているわけでもない。

 

アンサングシンデレラが上げているのは、他でもない薬物治療の有効性だと思います!

 

原作をご覧になった方ならお分りと思いますが、アンサングシンデレラは処方せんによる調剤がどのように行われているか

また、医薬品を有効かつ安全に使用するために陰でどのような仕事がされていて、使う側としてはどのような注意が必要かがとてもリアルかつ分かりやすく描かれています。

 

一般の皆さんがこれを見ることにより、今までおろそかにされていた部分が改善され、結果的に薬物治療のアウトカムが向上するという結果もこれから現れてくるのではないでしょうか。

 

そういう訳で医療に携わる人達は、患者さんのメリットを第一に考えて、是非アンサングシンデレラという薬物治療向上ドラマを応援して頂きたいと思います!

疑義照会とは

どうも!けんたろんです。

 

今日は疑義照会についてざっくりと私見を書きたいと思います。

 

疑義照会はご存知の通り薬剤師が調剤をする上で義務づけられた薬物治療の有効性と安全性を保つために必須とされる業務ですね。

 

ただ残念ですがその疑義照会という業務に対する捉え方が薬剤師の間でもそうですが、さらに他職種にとっては異なる印象があるのではないかと言う事実があります。

 

最近では以前と比べると改善してきたと思われますが、やはりいまだに薬剤師からの疑義照会が医療現場で軽視されるという場面も稀に見られます。

 

そこから大きな医療事故に繋がるケースもあり、この状況は早急に改善する必要があると考えます。

 

疑義照会が医療現場で軽視される理由として僕が考えるところでは、薬剤師側の問題(現行の調剤を行う上での法規制など)と処方側の問題があると思います。

 

薬剤師側の問題としては、各薬剤師の臨床知識の差もありますが、それと別に銘柄処方や変更不可処方による規格違い、剤形違いが薬剤師判断での変更が制限されるなどです。

 

処方側としては多忙な業務の最中に前述のような内容による疑義照会を受けた時にはどのように感じるかは想像できるところですが、残念ながら現行の法規制では疑義照会せざるを得ないため仕方ない部分があります。

 

ならば在庫すれば良いと言われるかもしれませんが、このところの医薬品流通体制から考えて、治療効率を考えても疑義照会により変更する方が患者にとってのメリットが大きい場合が多いと思います。

 

処方側としては恐らくそのような各薬局の状況は見えてこない部分もあるかと思いますが、それが現実です。

 

この問題の解決方法としては、先ずは変更不可処方せんの撤廃なのですが、僕はそれよりも銘柄処方の禁止が最も有効だと思います。

 

それにより薬剤師側からの疑義照会も減少し、処方側としても重要な疑義照会に耳を傾ける余裕ができるのではないでしょうか。

 

次に処方側(疑義照会の受け手側)の問題としては、薬剤師からの疑義照会内容がダイレクトに伝わらないという問題があります。

 

それによって用量に関する照会が用法に関するものと誤認されたりすることが発生するリスクもあります。

 

どなたかがおっしゃっていましたが、電話による疑義照会ではなく、ダイレクトに処方側に文字情報という形で伝わる疑義照会の形が余計なわだかまりや間違いを防ぐためには有効と思います。

 

そのような疑義照会が定着するにはまだまだ時間がかかると思いますが、できる限り早期に実現して欲しいと思います。

 

最後に疑義照会をする上で大切なこととして、一体誰のための疑義照会なのかということを念頭に置いておく必要があると思います。

 

自分もそうですが疑義照会は少なからずストレスを感じる業務で、できる限り少なくしたいのですが、薬剤師として処方せんに薬学的な疑義を感じたからには避けて通れない道です。

 

そこで薬剤師が行う疑義照会は一体誰のために、何のためのものなのかを再度初心に帰って考え直したいところです。

 

幸いにもこのところ以前と比べて一般の方々の薬剤師業務に対する理解と認識も高まってきているように思います。

 

そんな中で患者さんや国民の皆さんからの期待に添えるような薬剤師業務を果たしていかなければならないとこの度改めて感じました。

 

日々の業務の中で色々と思うところもありますが、これからも皆さんと力を合わせて頑張って行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

 

実習が中止になりました

どうも!けんたろんです。

 

昨日の緊急事態宣言全国版の影響をうけて薬学生の実務実習が中止になってしまいました。

 

非常に残念です。

 

今回、僕にとって指導薬剤師として初めての実習でした。

 

僕は四年制薬学部卒なので、六年制の実習に関しては実際に経験もなく、正直右も左も分からない状態での実習スタートでした。

 

でも実務実習パーフェクトマニュアルの助けもあり何とか日々無事に実習を遂行してきた訳です。

 

その実習ももう少しと言うところで突然の緊急事態宣言による中止

 

正直ショックでした。

 

思い返せば初めての実習、毎日実習生から色んなことを教わったり教えたりして、どっちが実習生かなと感じる時もありました。

 

それほど六年制薬学生のレベルは高く、質問を投げかけられる度に勉強する機会が与えられました。

 

日々の業務だけでは思いつかないような疑問や、学生目線での疑問などは本当に新鮮で、自らの不勉強を思い知らされたわけです。

 

今回は緊急事態宣言による中止という大変残念な結果に終わりましたが、実習から学んだ経験を今後の業務や次の実習にも活かしていきたいと思っています。

 

全国の薬学実習生の皆さん、本当に現場薬剤師に刺激と勉強の機会を与えてくれてありがとうございます!

 

今度は薬剤師になってまた一緒に切磋琢磨していきましょう!

 

では、また!

今、薬局ができること

みなさん、こんにちは!けんたろんです。

 

新型コロナウイルスの流行で外出自粛要請が出ている中、みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

薬局でも飛沫感染対策として、受付カウンターや投薬カウンターにアクリル板を設置するところが増えているようです。

 

最近ではスーパーでも有人レジにはビニールシートを吊り下げて感染対策されているところも見られますね。

 

正直、今回のコロナウイルス流行に関しては、当初まさかここまで大事になるとは予想していませんでした。

 

なかでもドラッグストアさんはマスク絡みのお客さんからのクレームなどで本当に大変そうですね。本当にお疲れ様です。

 

このような時に薬局の薬剤師はいったいどのような形で貢献できるのでしょうか。

 

薬局は患者さんに医薬品を投薬するまさに薬物治療の最終ステップです。

 

新型コロナウイルス対策で電話診療が認められました。

それに伴い薬の投薬も電話による服薬指導の後に投薬することが認められました。

 

しかし診察と異なり、薬局は患者さんに医薬品そのものを手渡すという作業が必須となり、どうしても患者本人、または直接看護する家族などと接する必要があります。

 

今回は電話による服薬指導の後、郵送による医薬品配送も認められていますが、どちらにしても処方せん原本を受け取る必要があります。

 

つまり薬局には人が来るということですね。

 

これらのことからも薬局の従業員は非常に高い感染リスクにさらされています。

 

そのような状況にも関わらず薬局には医療機関に配布されるべきマスクが届きません。

 

どういうことでしょうか。

 

どこに医療機関よりも薬局の方が感染リスクが低いというエビデンスがあるのか。

 

そのような状況でも薬局は日々患者さんのために業務を続けます。

 

薬局ができることは医療機関が電話対応で済ませるなか、感染リスクを背負ってでも患者さんと顔を突合せて、患者さんの薬物治療が滞りなく行われるようにすることなのかなと思います。

 

でも、薬局で働く人達も同じ人間ですから、感染もすれば心も傷つくことがあります。

 

その辺をもう少し考慮した対応をして頂ければ嬉しいなと思う今日この頃です。

 

それでは皆さんも不要不急の外出は避けて、しっかり手洗いして予防に務めてください!

 

それでは、また!

 

 

 

 

夏真っ盛り!熱中症に気をつけましょう。

梅雨も明けて、毎日暑い日が続いています。

みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 

こんな季節、増えてくるのが熱中症です。

テレビなどでも熱中症という言葉を聞く機会が増えるのではないでしょうか。

では、熱中症とはどのような病気なのでしょう。

 

熱中症とは

熱中症とは、熱によって引き起こされる体の様々な不調の総称であり、暑さで体内の水分量や塩分量のバランスが崩れることが原因となります。

 

熱中症には様々な症状があり、また熱中症自体もその原因や症状により分類されています。

 

1)熱失神 ⇒ 皮膚の血管が拡張して血圧が低下し、脳への血流が悪くなることによって起こる。
症状:めまい、一時的失神、顔面蒼白、脈は速くて弱くなる
 
2)熱けいれん ⇒ 大量に汗をかいた時に、水分だけをとって血液中の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に起こる。
症状:筋肉痛、手足がつる、筋肉が痙攣する
 
3)熱疲労 ⇒ 大量に汗をかいて、水分補給が十分に追いつかないと脱水状態になり、熱疲労が起こる。
症状:全身倦怠感、悪心・嘔吐、頭痛、集中力・判断力の低下
 
4)熱射病 ⇒ 体温の上昇により中枢に異常をきたした状態。意識障害やショック状態になることがある。
症状:高体温、意識障害、呼びかけや刺激への反応がにぶい、ふらつき
 
熱中症の重症度
熱中症には軽症のものから、命にかかわる重症のものまで段階に分かれます。
それぞれの重症度は、Ⅰ度からⅢ度までに分類されます。
つぎにそれぞれの症状と、対応方法をご紹介します。
 
Ⅰ度:重症度 軽度
  (症状)
   ・めまい、失神
   ・筋肉痛、筋肉の硬直
   ・大量の発汗
  (対応方法)
   直ちに涼しい場所に移動して、水分と塩分を与える。
 
Ⅱ度:重症度 中度
  (症状)
   ・頭痛、不快感、吐き気、嘔吐、倦怠感、虚脱感
  (対応方法)
   自分で水分や塩分がとれない時は、すぐに病院に搬送。
   
Ⅲ度:重症度 重度
  (症状)
   ・意識障害、けいれん、手足の運動障害
   ・高体温
  (対応方法)
   すぐに病院に搬送。
 
涼しい場所で水分と塩分の補給を
立ちくらみや、めまい、筋肉のけいれん、倦怠感などの熱中症を疑う症状が現れたら、直ちに涼しい場所に身を移して、衣服をゆるめた楽な姿勢で水分や塩分の補給をしましょう。
 
その際、スポーツドリンクや経口補水液などを用いることが効果的です。
手近にそれらがない時は、水や麦茶に塩や梅干しを足して補給しましょう。
 
また、それと同時にうちわや扇風機で風を当てたり、氷を当てるなどして体を冷やすようにしましょう。
 
氷を当てる場合は、首筋やわきの下、足の付け根、足首などの動脈が通っている部分を冷やすのが効果的です。
 
のどが渇いてなかったり、汗をそれほどかいていなくても体内の水分が不足していることもあります。
尿の色がいつもより濃かったり、量が少ない場合はすでに脱水症が起こっている可能性があります。
普段からこまめに水分や塩分を補給することが、熱中症や脱水症の予防には大切です。
 
ただし血圧が高かったり、水分・塩分の摂取が制限されている方は、それぞれかかりつけの医師、薬剤師に相談するようにしてください。
 
またスポーツドリンクの中には糖分を多く含んでいるものがあります。
糖尿病の治療を受けている方は、スポーツドリンクの摂取に関してもそれぞれかかりつけの医師、薬剤師にご相談ください。
 
水分・塩分補給の目安
(1)日常生活における水分補給:通常の生活では食事等に含まれる水分を除いた飲料として摂取すべき量は1日あたり1.2㍑を目安とする。
(2)運動時や作業時の補給:水分の補給量は体重減少量の7~8割程度が目安となる。体重の2%以上の脱水を起こさないように注意する。大量の発汗がある場合は、スポーツ飲料などの塩分濃度0.2%程度の水分を摂取する。
作業前:コップ1~2杯程度の水分・塩分を補給する(コップ一杯200ml)
作業中:コップ半分~1杯程度の水分・塩分を20~30分ごとに補給する。
作業後:30分以内に水分・塩分を補給する。
(3)飲酒時の補給:アルコール飲料は利尿を促進するので、飲酒後は水分・塩分を、十分に補給する。
(4)空調装置使用時の補給:空気が乾燥するので、こまめに水分・塩分を補給する。
 
日本生気象学会 「日常生活における熱中症予防指針」Ver.3 より
 
 
熱中症を予防するには
熱中症を予防するための指標として、暑さ指数(WBGT)と日常生活における熱中症予防指針の二つがあります。
 
1)暑さ指数(WBGT)
暑さ指数(WBGT:Wet Bulb Globe Temperature、湿球黒球温度)とは、熱中症を予防する目的で1954年にアメリカで提唱されたものです。
気温・湿度・輻射熱の3つの要素から算出します。
 
気象予報では一般的に日最高気温が予報されていますが、熱中症による死亡者数や救急搬送数との相関性は日最高気温よりもWBGTの方が高いため、指標に用いられています。
 
毎年、熱中症に注意が必要な時期になると、環境省のホームページにおいて各地の暑さ指数の実況と予測値が公開されています。
お住まいの地域の暑さ指数を確認して、事前に熱中症予防対策をするようにしてください。
 

 

 2)日常生活における熱中症予防指針

温度基準(WBGT) 注:WBGTは通常の気温とは異なります。

危険(31℃以上)  

注意事項:高齢者では安静な状態でも熱中症の発生する危険性が大きい

外出はできるだけ避け、涼しい室内に移動する必要がある。

 

厳重警戒(28℃以上、31℃未満)

注意事項:外出時は炎天下を避け、室内の気温上昇に注意する。

 

警戒(25℃以上、28℃未満)

注意事項:運動や激しい作業を行う時は定期的に十分な休息をとる。

 

注意(25℃未満)

注意事項:一般に熱中症の発生する危険性は少ないが、激しい運動や重労働時には発生する危険性がある。

 

URL: http://seikishou.jp/heatstroke.html

 

特に小児、高齢者は熱中症になりやすい

小児や高齢者は以下の理由により、特に熱中症になりやすく注意が必要となります。

小児や高齢者は、熱中症弱者としての認識が重要です。

 

・小児は汗腺の発達や、自律神経が未熟なため、体温調節機能が成人と比べて弱いです。また、身長が低いため地面からの輻射熱の影響を受けやすくなっています。

 

・高齢者は持病のある方は、自律神経の機能が低下しており体温調節機能が弱くなっています。また、高齢者の場合、全身に占める水分の割合が低くなっており、容易に脱水になりやすくなっています。脱水になると発汗機能が低下して、さらに体温調節が困難になります。

 

・小児、高齢者ともに自ら熱中症を予防する能力が乏しくなっています。

 

以上の理由から、小児は熱中症になりやすいため、暑い中での屋外活動には注意が必要となります。

 WBGTの確認だけでなく、屋外活動を行う際には、事前に十分な睡眠と栄養、水分の摂取が重要となります。

 

これらを十分に行った場合でも、もし少しぼーっとしていたり、息が荒く呼吸回数が多い、脈が速いなどの兆候が見られた時は注意が必要です。

 

特に低学年児童の場合、自分の症状を的確に言い表すことができないため、単に「足がつった」などの訴えがあった場合でも、単なる疲労と判断せず、熱中症の初期症状を見逃さないように注意しなければなりません。

顔の紅潮や、大量の発汗は体温が上昇していることを示す熱中症の初期症状でありますし、また逆に全く汗をかかない状態も体温低下という重要な機能が働いてないことを示しており注意が必要です。

 

重要なことは、いつもと様子が違うということを察知して、熱中症の初期症状を見逃さず適切な対応を迅速にとることです。

 

最後に

これからまだまだ暑い日が続きます。

今回は熱中症で亡くなる方や、救急搬送される方が少なくなることを祈ってブログを書きました。

薬剤師としてできることは限られていますが、できる範囲のことでこれからも尽力していきたいと思っていますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 Reference